ホンダ N360(1967-1972年)
高性能で広い室内空間。低価格で軽自動車の常識を覆し注文が殺到。
1960年代中頃の軽自動車は、2サイクルエンジンを車体後部に搭載して後輪を駆動するRR方式の軽自動車が一般的であった。この軽自動車の市場に4サイクルエンジンをフロントに搭載して前輪を駆動するFF方式の「ホンダ N360」が、1967年(昭和37年)にホンダから発売された。
フロントに搭載されたエンジンは高回転型の高出力エンジンで、他メーカーのエンジン性能を大きく上回っており、軽量ボディとの組み合わせから走行性能も他車を圧倒した。1969年、マイナーチェンジが行われ、外観は変更無く、ダッシュボードのソフトパッド化やシートベルト等の安全装備の充実が行われた。翌年、フロントグリルが若干変更された「ホンダ N360Ⅲ」が登場したことから、一般市場ではマイナーチェンジ後の車両を「ホンダ N360Ⅱ」と呼んだ。
博物館の展示車は、マイナーチェンジ後のモデルで、中間グレードの「スーパーデラックス」。(1969年、日本)
【日本自動車殿堂 歴史車】
いすゞ 117クーペ(1968-1981年)
美しい曲線のボディ・デザインは1970年代を代表する傑作の1台。
1966年(昭和41年)3月のジュネーブ・モーターショーで発表された「ギア/いすゞ117 スポルト」は、イタリアのカロッツェリア・ギアに在籍していたジョルジェット・ジウジアーロが担当した斬新かつ繊細なデザインの2ドアクーペで、1968年12月より「いすゞ117 クーペ」として発売。
日本初の電子式燃料噴射装置を装備したツインカムエンジンを搭載、後輪駆動。細いピラーを始めとする繊細なボディデザインはプレスでの大量生産が難しく、多くの工程を手作業で行わなければならないカスタムメイド的な生産方法が採られた。1973年 3月、大幅なマイナーチェンジが行われ、ボディのプレス成形を増やす生産工程の変更によりコストダウンが計られた。また、テールランプやバンパーの大型化も行われた。博物館の展示車は廉価版として設定された1975年式シングルキャブ仕様の「117クーペXT」。(1973年、日本)
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